液状対策工法
液状対策工法とは、大きく分けて以下3つの液状化対策の工事を指します。
- 浅層混合処理工法(せんそうこんごうしょりこうほう)
- 深層混合処理工法(しんそうこんごうしょりこうほう)
- 小口径杭工法(しょうこうけいくいこうほう)
ボーリング調査やSDS調査などの液状化判定によって、液状化の恐れがあると判断された場合に液状対策の工事が施工されます。
調査によって液状化の恐れが判断されると、建物のみの液状対策もしくは地盤まで及ぶ液状対策を行います。
施工の方法は建物が立っている地盤は場所によって異なるため、どちらの方法が正解というわけではありません。液状化を防ぐためには事前の地盤調査が必要なので、調査会社の判断に従って施工しましょう。
浅層混合処理工法・深層混合処理工法
浅層混合処理工法(せんそうこんごうしょりこうほう)は、地盤を固めて液状化を対策する方法です。元々の地盤にある土にセメントを混ぜ合わせて地盤が固めて、土地ごと液状化を防ぐことができます。
ただし地盤の改良が可能な深さは2メートルまでです。液状化している深さが8メートル程度ある場合は、円柱状に地盤改良を行う「深層混合処理工法(しんそうこんごうしょりこうほう)」を行います。
小口径杭工法
小口径杭工法は、杭(くい)を打ち込む液状対策です。液状化層より深い非液状化層まで杭を打ち込み、建物の沈下を防ぎます。
地盤が傾いている場合でも杭を打ち込むことは可能なので、傾斜している地盤に建っている建物は杭の剛性を高くしましょう。
ただし固い地盤が15メートル以上の深さに到達する場合は、高額な費用を払うことになるため注意が必要です。
液状化現象とは
液状化現象とは、地震の揺れにより地盤が液状化することを指します。地盤には土だけでなく水分が含まれており、土に振動が加わることで土粒子同士の水圧が上昇して液状化の原因になります。
つまり液状化した地層とは、土と水が合わさった泥水のような状態になる状態です。そして圧力の弱くなった地下水が地上に噴き出し、地下の水道管やマンホールなどが浮上してしまいます。
液状化現象は様々な建物を沈下させてしまいますが、とくに危険なのが木造住宅です。なぜなら建物の重量が軽く基礎が浅いことが多いため、沈下や傾斜による被害を受けてしまいます。
ちなみに液状化が1度起きた場所は、2回目以降の液状化の「再液状化」が起こる可能性があります。たとえ1度目の液状化の対策で地盤を固めた場合でも、地盤そのものが液状化しやすい場所は変わりません。
むしろ2回目以降の液状化による被害が拡大する恐れがあるため、土地そのものに対しての注意が必要です。
液状化になりやすい場所
液状化になりやすい場所は以下の4つです。
- 埋立地
- 河川近くの土地
- 採掘の埋め戻した土地
- 砂丘間低地
液状化しやすい土地は、水分と砂を多く含んでいます。海や川などは水分だけでなく砂利で埋め立てられている場合があるため、地震によって液状化の被害を受けやすいのです。
日本は昔から埋立や埋め戻しを行った歴史があるため、過去をたどれば地盤が緩んでいる土地である可能性があります。
地震による大きな衝撃は過去に埋立した影響を受けるため、問題なさそうな土地でも液状化のリスクを考慮しなければなりません。埋立後100年以上経過している場合においても、液状化する可能性は十分に考えられます。
埋立地
埋め立てを起こった土地は地面が沈む時間が経過していないため、地盤が安定せずに液状化しやすくなります。ただし長期間が経過していれば安心というわけではなく、埋め立てされた土地は基本的に液状化のリスクが高いです。
例えば千葉県の舞浜や東京都の八重洲など、東京湾に近い土地の地盤は液状化しやすいため、大きな地震が起きたときに液状化の被害を受けやすいです。
実際に埋立地で液状化の被害が出た場所は、神戸市の六甲アイランドやポートアイランドなどの人工島です。阪神淡路大震災によって液状化が起こり、大きな被害を及ぼしました。
河川近くの土地
河川近くの土地は長い年月の中で何度も氾濫しているため、土砂が堆積することで液状化しやすい土地になっています。
また現在の河川近くの土地だけでなく、かつて川や沼地だった場所も液状化のリスクが高いです。川や沼であっても海を埋め立てした土地と変わらないので、地盤が緩みやすく地震による影響が拡大する恐れがあります。
ちなみに河川近くの土地は震度4の地震でも液状化する危険があるため、地震の多い地区はいつ液状化するかは予測できません。例えば熊本地震による液状化による被害は、河川近くの土地で500カ所以上で見受けられました。
採掘の埋め戻した土地
砂利や砂鉄の採掘後に埋め戻した土地は、地盤が緩くなるため液状化しやすいです。日本は鉄を生成するため砂鉄の採掘が行われた土地が多いため、埋め戻した土地の地盤が緩くなっています。
埋め戻しには周辺の土や細かい砂を使っていたので、掘り起こした穴は締め固めをしていないため地盤が緩くなっている可能性が高いです。液状化が発生すると地中の水圧が高くなるため、締め固まっていない地盤から砂や水が地上に噴き出しやすくなります。
砂丘間低地
砂丘は砂が堆積して作られている土地なので、地下水位が高くなることで液状化が起こりやすいです。砂丘間低地は主に、日本海沿岸や太平洋岸の鹿島灘、遠州灘沿岸などの砂丘地帯などに分布しています。
基本的に砂を多く含んでいる地盤は地震による揺れに弱く、砂丘だけでなく海砂によって海を埋め立てた場所でも液状化しやすいです。